ZERO〜存在〜
放課後、ふらりと蘭がいなくなった。
3年生のこの時期、部活は無い。
いつも、偶然を装って、蘭と一緒に帰っている俺。
あいつ・・・どこ行ったんだ?
「蘭なら、呼び出し食らって、さっき体育館裏に行ったわよ」
声に出してないはずなのに。
どーしてこいつには分かってしまうのか。
ため息混じりに、後ろを振り向くと、園子が仁王立ちしていた。
「呼び出し?」
「そう。呼び出し。同じ空手部の男子主将って言ってたっけ?」
「・・・ふぅん」
「どこぞの探偵さんがトロトロしてるから、先、越されちゃったみたいね」
ふんっと、言い捨てると、そのまま教室を出て行ってしまった。
体育館裏に呼び出し。
なんて、すること一つしかねーじゃねーか。
俺の隣の席―――蘭の席―――に置かれたままの、蘭の鞄。
「らん・・・っ」
大人気ないことだと分かっていても。
情けないことだと分かっていても。
かっこ悪いことだと分かっていても
それでも俺は、教室を飛び出していた。
コナンから戻って数週間。
トロトロしてるヒマなんてねー!
俺はちゃんと自分の声で、自分の気持ちを伝えるって決めたんだ。
渡り廊下を駆け抜けて、体育館裏へ―――。
ちょうど、「空手部の男子主将」というヤツが、蘭に何か話しているところだった。
「・・・俺、工藤よりも毛利のこと好きだっていう自信があるんだ」
その男の言葉が聞こえた。
俺は立ち止まることもせず、二人に突っ込んでいく。
いきなり現れた俺に驚く二人。
でも、そんなことは気にせず、蘭を自分のほうへ引き寄せた。
「悪いけど。俺以上に蘭のこと好きな男なんて、この世に存在しねーから」
無意識に出た言葉。
でも、それは本心だ。
俺以上に蘭のことを想ってるヤツなんて。
絶対に存在しない。
「な・・・っ?」
言葉にならない言葉を発する「空手部男子主将」。
「邪魔して悪かったな。それだけ、訂正しておきたかったんだ」
それだけ言うと、そのままきびすを返して歩き出す。
すると。
「あの・・・ごめんなさいっ」
後ろで蘭の謝る声。
そして、小さな足音が、俺の後ろから付いてくる。
しばらく歩いたところで、後ろから声がした。
「・・・今の、どいういうことよ?」
俺は自分がしたことに、言ってしまった言葉に恥ずかしくなって。
後ろを振り向くことなく、ポケットに両手を突っ込んだまま歩く。
「そのままの意味だよ」
そっけなく答えて。
「そのままって?」
俺に追いつくことなく、蘭はずっと俺の後ろを付いてくるだけ。
「蘭のこと好きな男なんて、たくさん居ると思うけどさ」
「・・・いないよ、そんなの」
小さく否定する。
「いるんだよっ」
現に・・・告白されてただろうが!
そう思いながら、言葉を続ける。
「でも、俺以上に蘭のこと想ってるヤツなんて、この世に存在しねーんだよ」
こんな恥ずかしい言葉、二度も言わせんな。
恥ずかしくて。なんとなく情けなくて。
俺は蘭のほうを向くことができず、スタスタと歩く。
すると。
「ねえ、新一。知ってた?」
また、後ろから蘭の声。
「・・・何を?」
「毛利蘭以上に、新一のこと想ってる女の子も、この世に存在しないんだよ?」
驚いて、思わず立ち止まり蘭の方を振り向く。
蘭は顔を真っ赤にさせて、じっと俺を見つめていた。
ふと足元を見ると、少し震えている細い足。
きっと、緊張してるんだ。
俺は、そんな蘭が愛しくてたまらなくなって。
ふっと優しく微笑む。
「それは、知らなかったな」
そう答えると、そっと蘭へ近寄って。
優しく抱き寄せた。
「じゃあ・・・覚えててよ。私、ずっと新一が―――」
腕の中で蘭が言おうとした言葉を。
「俺は、蘭が好きだ」
遮った。
言わせてたまるもんか。
俺が言いたかったんだ。
自分の気持ちを、自分の声で。
「世界中の誰よりも?」
蘭が腕の中から上目遣いで聞いてきた。
「ああ、世界中の誰よりも」
だって。
存在しねーから。
俺以上にオメーのこと好きな男なんて。
「私だって一緒だよ」
嬉しそうに蘭が呟いて、俺の背中に手を回す。
俺たち以上に、相手のこと想いあってる人たちは。
この世に、存在しない。
そう思えるほど、この瞬間、幸せをかみ締めていた。
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バカップル誕生!!(爆)
でも、新一はコレくらいすると思う。
告白すらさせてあげないと思う。
絶対そう思う!!